要求条件

この住宅は、東京の下町周縁部に建つ、４人家族の住宅である。 建築主からは、 以下の３つの明確な要求がなされた。

1. 動線計画が簡素であること、
2. 地震災害に強いこと、
3. 質素で低予算であること、

敷地の特長

敷地は、間口が広く奥行きが狭い、１５坪ほど小さな敷地である。

3つの特長

以上の条件に対し、次の3つの特長ある設計によって、完全な顧客満足が得られています。

特長１：空間計画

空間は、中央に階段室を配し、南北両側にスキップ状に配置されている。各空間は階段を通じ適度な空間の連続性を有し、見え隠れしながらも立体的に上方に向かい連なり、最後は屋上へと繋がる。友人の出入りの多い居間を最下階に、上に登るほどプライベートな空間となる。

特長２：構造計画と環境計画

上の空間を実現するため鉄骨造が選択された。２階台所の床を３階のトラス梁で吊ることで、無柱の駐車場、大きな開口のある食堂・台所を確保している。

• 通風：南側東側の開口も自由に大きく取られ、夏場のこの地域の南風をを利用し、南北の通風も十分なものとした。これによって、リビング（居間）、ダイニング（食堂）、子供室、寝室に取り付けられたエアコンも夏季でさえ、稼動する機会も少ない。
• 床暖房：1階リビング（居間）と2階ダイニングキッチン（食堂・台所）のみに温水床暖房が取り付けられている。中央階段により余熱が上の寝室、子供室にも循環され、特別の暖房は不要である。階段上部は、冬季・雨季の洗濯乾燥コーナーとしても利用されている。

このように特殊な空間とそれを実現させるための構造計画が、エネルギー環境にも貢献することとなる。

特長３：簡素なデザインと整合性

内装は簡素ベニヤ合板仕上である。木質の柔らかな質感と、鉄鋼の持つ重量感のある質感の対比をインテリアに取り入れてある。特殊な構造計画・ローコストの思想がそのままデザインとなっている。

建物概要