東京都江戸川区・microstation BIM設計
「中央に取られたゆとりのある中庭。
それを螺旋状に回廊が廻り、部屋が取り付く。
回廊は、あたかも無限に繋がるがごとき。
その中心には中庭だ。
無限に変化する光景、時に雨が降り、風が舞う。
しかし、光降り注ぐ中庭は、無限にこの家の中心となる。」
建蔽率50%、つまり敷地の半分は空地としなければならない。かつ、大規模公園予定地域で、建物は2階建てまで。周辺環境も、倉庫と大型駐車場に囲まれ、かつ、その周辺も、金属処分業、自動車解体業など、閑静な住宅環境とは言えない。そこで、敷地中央にまとめた空地、中庭を設け、その周りに部屋を配置することとした。
その中庭に取り付く回廊は、螺旋状である。第1の理由は、祖母も住むこととなるので、すべての部屋に、階段を利用しなくとも斜路、スロープで利用できるようにする為である。第2の理由は、シークエンスに変化を与え、空間を豊にすることである。通常水平移動によって、中庭を、又は、中庭越しに見えるリビング、ダイニングなどの光景を楽しむこととなろう。ここではさらに、斜路、スロープををめぐらし、視覚に上下の変化を与え、より豊な視覚的刺激を与える空間になると考えている。
さらに螺旋の回廊は、途切れることなく無限に続くイメージを与える。微妙な階高の違いを考慮しながら、浴室、ユーティリティー、併設される店舗事務室繰り込んであるからである。
中庭に面する長い回廊は、一見長く、不便に思うかもしれない。しかし、無限螺旋回廊という装置によって、このような中庭の日々の自然の変化、風、雨、光の変化を身近に感じ取れる空間であるとしたら、不便など関係ない、豊な生活が実現できるのではないだろうか。
材料が高級な高級住宅でなく、豊な空間の質こそが高級なのであるり、それが高級住宅である。