人は2次元から考え始める
3次元モデルの設計に挑戦して7年。駆け出しの終わりからからいまだに使っている道具がある。「小さなスケッチブック」と「スイス製CARAN D’ACHEのホルダーと3mm/3Bの芯」。設計の始まりは、いまだにここから考える。定まらないぼんやりとした鉛筆の線、小さな紙に浮かんだ2次元の線。始まりは「平面」「断面」。
いきなり3次元を構想すればそこに新機軸が生まれる?しかし建築に機能と社会的規制があり2次元の分析的思考からの脱却は難しい?人は2次元から考え始める動物か。
平面は立体となり、緻密に構成される。
しかし、また、2次元に解体される。建築は一人では完成されない。多くの手が必要であり、一人一人のゼロからの空間理解から始まる。再び2次元からの思考が始まるのだ。
建築はヴォイド空間
機械系設計は既に3次元設計が標準。なぜか。機械系は量産製品や、製品開発費も十分掛けられる高価なものなので、設計費用も1製品当りに十分な設計費が掛けられるのが第1の理由。
第2の理由が、建築はヴォイド空間であること。立体を考えてみよう。ソリッドな立体であれば6面をデザインすればいいが、ヴォイドの場合、立体の内側に入って、内面をさらに6面もデザインしなければならない。単純に2倍の作業を要する。さらに、物の内側に入って作業すること自体が、たとえパソコン内のエレクトリカルモデルであっても、難しい。
設計教育
設計教育は、2次元の世界から、3次元の世界を自らの頭の中に想像し、結局、2次元の世界に表現するしかなかった。そのため、3次元を2次元に表現する手法ことだけを教育されてきたといっていい。
3次元を直接、描く手法は、全くの未知の世界であるといっていい。建築設計での、3次元を描くことの手法の確立と、その教育が必要とされる。