民間でも官庁レベルの設計見積
PMとは極論すればコストコントロールである。
ところで、実務での最終局面での施工会社との交渉は、次の式
- 工事費=Σ{「数量」×「単価」}
によって、施工予定者が製作した工事見積書をもとに最終金額が交渉(Negotiate)される。
PMとは極論すればコストコントロールである。
ところで、実務での最終局面での施工会社との交渉は、次の式
によって、施工予定者が製作した工事見積書をもとに最終金額が交渉(Negotiate)される。
1.「単価」の意味
- 「単価」については、上でリスクがそれぞれの工事費に内包されていることを指摘したが、同様のことが単価に付いても言える。つまり
- 単価=(材料費+人件費+管理費+純利益+リスク費)
- となり、リスクが発生しない場合
- 利益=純利益+リスク費
- となる。また、このリスク費は総合請負発注形式の場合
- リスク費=専門工事業者(下請)リスク費+総合請負業者(元請)リスク費
- に分かれている。したがって、
- 単価=(材料費+人件費+管理費+純利益+専門工事業者(下請)リスク費+総合請負業者(元請)リスク費)
- となる。本来、単価とは、専門工事業者(下請)に総合請負業者(元請)が支払う金額であり、
- 単価=(材料費+人件費+管理費+純利益+専門工事業者(下請)リスク費)
- と解釈されるべきであり、総合請負業者(元請)リスク費は、諸経費のうちの一般管理費(利益含む)に含まれるべき金額である。ところで、「6.の単価=専門工事業者(下請)に総合請負業者(元請)が支払う金額」は、一切公表されていない(米国では公表されるケースも多いので、PM/CMの意味も大きい)。5.単価の80%とも70%とも言われる。したがって、単価の評価は、総合請負業者(元請)と専門工事業者(下請)以外にとっては、五里霧中である。これは民間・官庁の工事を問わず言えることで、「数量調書」を作成し厳密な設計見積を作成する官庁工事においても、工事額の真偽については不明であるといえる。これは、昨今報道いわれている、官庁工事の談合問題もこのような技術的視点から見積り額がある程度の精度を持って評価されていないことも1つの要因ではないこと感じている。
2.「数量」
1.の式のように工事費を増額するには「数量」と「単価」の増しかない。上のように交渉において「単価」の交渉は、不確定要素が大きく、交渉により論理的譲歩を導くのは、難しい。
「数量」の正誤については、はっきりしているのでこの交渉は有益である。但し、官庁工事で作成する、「数量調書」と「設計見積」を2次元図面から引き出すには、莫大な時間と労力を積み重ねてきた。したがって、民間工事においては、数社の設計も積もり比較、もしくは請負業者のデータを信用するしか手はなかった。請負業者も簡単には算出の難しい数量を多めにすることは、金額調整の1つの手法となっている。3次元からオートマティックに「数量」を生成するBIM設計によって、正確な「数量」による交渉が可能となった。
パレートの法則による基本設計見積のコストコントロール有効性については既に指摘した。一般的基本設計見積に比べBMIの基本設計見積の優位な点は、「実施設計完了時と同様の項目の構成で、基本設計の見積がおこなわれるため、基本設計からの継続的分析および基本設計と実施設計の比較検討・分析が容易の可能となり、コストコントロールが優位となる。」ことである。
「在来の基本設計見積では、計算量を簡易化するため、複合単価を用いた。つまり壁であれば、以下のように算出する。「外壁単価(円/㎡)=外壁+断熱材+構造下地材+内部壁下地材+仕上げ材」を算出し、「外壁工事費=外壁単価(円/㎡)×面積」を各部位ごと(床・壁・天井・屋根など)に計算し、集計する。したがって、部位ごとの単価のみ算出される。
一方、実施設計完了時見積は、設計見積・施工業者見積共に、工種(鉄筋・コンクリート・鉄骨・建具・・・etc)ごとの見積となる。これは、施工者見積の場合、各専門業者に見積を出させ、総合請負業者がそれを取りまとめる為の様式である。
このように、在来の基本設計見積と実施設計完了時見積は、集計分類が異なり、比較対照・分析は行いにくい。
ところが、BIMにおける見積は、基本設計時も工種ごとの形式で作成され、パレートの法則による効果に加え、実施設計まで継続的に比較・分析できることから、BMIの基本設計見積の優位性は非常に高い。
レイアウト、動画・画像が、画面幅にパラメトリックに変化。のはずが・・修正完了。各ディバイスで見やすくなりました。2014.11.5
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