二世帯住宅 a556案
自遊空間原案(a556案)をもとに、この段階で最終案として、検討をさらに進めた案である。
デザイン上の特長としては、南側にポケット公園、北東には自動公園があり、また、角地に立地する都会では比較的恵まれた環境を生かし、2・3階の眺望を極力生かし、内外に開放された、自由で流動的な空間を目指した。一方、次のような特長と課題が含まれていた。
- 縦列駐車の大型乗用車・中型乗用車描く1台(計2台)分の完全な屋内駐車場と、1世帯分の住居スペースを1階部分に求められたため、1階の絶対面積が少ない。そのため、1階住居部分は個室がひとつしか取れず、かつ居住部分の形状から間取りが難しい。
- 2階・3階はもう1世帯分の住居スペースであるが、こちらは十分なスペースが確保できる。
- この間取りでは、構造のスパン割(柱間)と各部屋の相関性がなく、ブレース(耐震壁要素)が確保できない。したがって、室内の間仕切の自由度を上げるため、ブレース(耐震壁要素)の不要な、純ラーメン構造を採用した。
- 純ラーメン構造は、柱・梁サイズが大きく、また、基礎サイズ(深さは1m程度)となる。特に、太平洋戦争の高射砲基礎の地中障害があると予想されるが、完全な撤去が必要と考えられた。
このような状況のもと、図のような段階まで検討が進めれれた。しかしながら、下記の状況・理由で結局この案は破棄された。
- 眺望を生かした内外に開放された空間を、生活に持ち込むことへの抵抗と不安。標準的な都内下町の一戸建て住宅の感覚との、遊離。
- 詳細検討を加えるにつれ、条件の悪い1階住居での純ラーメン構造による、柱の太さが、間取りに想像以上の圧迫を与えたこと。
- 予算上、太平洋戦争の高射砲基礎の地中障害対策については、融通が利き最小限の対策となるような、計画が望まれてこと。
以上が破棄の理由である。結局、スキップフロア案(a723案)にいたる。
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二世帯住宅 a556案 自由空間案
間取り・平面図断面図
2階住居は、さらに、角地で、周辺環境を生かし、壁面は、壁が雁しながら、大きな開口が取られ、都会ながらも外部に開かれた空間となっている。3階の寝室も同様である。1階住居スペースは、諸条件からゆとりにかける。
リビング(居間)とダイニング(食堂)が、雁行しながらも、一体的に繋がり、キッチン(台所)もオープンキッチンタイプとなっている。