1. 反抗
20世紀に渡る建築には、直線への反抗的建築もある。
サン・カルロ・クワトロ・フォンターネ:卒業旅行で訪れたローマでも、印象的で心に残る建築のひとつだ。正面のうねる壁、内部に入るとねじれ、湧き上がる空間。同時代のバロック建築が、空間そのものというよりどちらかといえば装飾の操作に見えるとき、この空間は、空間自体がねじれ、とどまることのない空間が出現している。
20世紀に渡る建築には、直線への反抗的建築もある。
サン・カルロ・クワトロ・フォンターネ:卒業旅行で訪れたローマでも、印象的で心に残る建築のひとつだ。正面のうねる壁、内部に入るとねじれ、湧き上がる空間。同時代のバロック建築が、空間そのものというよりどちらかといえば装飾の操作に見えるとき、この空間は、空間自体がねじれ、とどまることのない空間が出現している。
近年の反抗的曲体デザインの建築家
アントニオ・ガウディ。
ブルース・ガフ。
フランクO ゲイリー。
ツールの革新
曲体を住宅/建築に利用できなかった理由が、定規で2次元平面上に描くという道具(ツール)にあるのだとすれば、新しいツール、3次元設計/BIMを得た今、その制約から解放され、新たな設計の可能性が開かれるように思う。
理念の転換
古典建築のアンチテーゼがモダニズムであった。モダニズムは、古典建築の装飾の否定である、と同時にロシアアバンギャルドに代表される空間を再構成することの発見でもあったと思う。
そして空間を構成することのみに意識が集中したことに対するアンチテーゼが、ポストモダニズムである。ポストモダニズムは、装飾の復権とも見える、というより当時駆け出しの学生の身から見れば、記号論などにより論理武装されていようとも、当然そのような視点がクローズアップされていたように思える。しかし今考えてみると、人の記憶、人の深層意識に形成されてものを、空間の中に呼び出し、空間の構成の中に埋め込もうとする運動ではなかったかと思う。深層意識の表現は、装飾による直接的表現から、空間構成の過度な、過剰な操作によるディスコンストラクションの運動へと変化した。
このポストモダニズムとその延長上のディコンストラクションのアンチテーゼとして現われたのが「プログラム」主義とも言うべきレム・クールハースの主張である。
ポストモダニズムの主張も振返ってみればモダニズムの延長上にある。その延長線が何かといえば、「計画」という概念である。「フランス革命」「産業革命」「新大陸の発見」から発せられた、いわゆるモダニズムは、作業を細分化した上で、オートメーション化をすることにより発展したとも言える。つまり、個々の人間としての独立の意識が作業の再分化を促し、技術革新がそれぞれの作業を再分化する、そしてこの手法は、地域(空間)を越えて、職種を越えて、全てのものにユニバーサルに適用される。この「細分化+オートメーション化」を構想し組み立てることが、「計画」という考え方である。
しかるに建築ではというと、モダニズム→ポストモダニズム→ディコンストラクションまで、根底に流れるのは、この「計画」という概念であり、かつ、この「計画」の内容自体も、固定化した型に嵌められてしまっていたと言えるであろう。ここで、「計画」とその内容を、再度分解し組み立てる、どのようなプロジェクトにおいても計画の分解・再構築の作業を取り入れること、そしてその再構築の姿をそのまま表現することが「プログラム」主義の位置づけである。理性と感性
さて、モダニズムから「プログラム」主義まで、そこに貫徹するものとはなんであろうか。
私は、理性主義と、それをもっと適切に表現する方法がその他の表現する方法を許さない完全無欠のユークリッド幾何学という手法だったと思う。
住宅/建築を構築するのに理性は重要である。しかし、人とは、理性と共に感性(理性がのぞき得ない深層の意識)が共存する動物である。理性のもとにひとつに統合されることはないのだ。ここでいう理性とは哲学的厳密な定義ではなく、歴史的史実として男性が中心となって組み立てられてきた論理的思考方法のイメージとしてとらえたい。その思考法では表せない世界を仮に感性と呼ぶ。
理性の象徴がユークリッド幾何学の代表選手=直線であるならば、感性の代表選手は、曲線・曲体であろう。理性のイメージが、直線・立方体・男性の肉体・アポロン・明暗のコントラストであるとすれば、感性のイメージは、曲線・曲体・女性の肉体・エロス・明暗のグラデーション。
ニーチェの「悲劇の誕生」からすると、アポロンに対するのはディオニュソスとするのが常識的でしょうが、ここではあえてエロスとした。つまり、たぶんフロイトのいうところのリビドーのさらに根源のエネルギーたるエロス、たぶんプラトンのいうところの「知を愛し求めること」という事象ではなく運動そのものとしてのエロス、というイメージをこめています。明暗のコントラストという事象ではなく、明から暗に至るグラデーションが生み出す運動そのものを対比としてイメージできると思います。
さかのぼって「計画」「プログラム」主義を切り離し、そのあとに何が残るかを考えるならば、「3.5光/構造/空間3.5.1住宅/建築に何を求めるか」の冒頭で指摘した「美しさ」を求める力であると考えました。その力は住宅/建築と対峙し、自らの存在を感じさせるとき現われ、それを感じさせる要素は光/構造/空間と考えました。
理性で構成された空間が、感性も含めた光/構造で満たされた空間となれば、「美しさ」はさらに輝きを増すのではないかと思うのです。曲体のイメージ
うねり、光のグラデーション | |
曲体の充満 | |
直線・曲体のクロスオーバー | |
レイアウト、動画・画像が、画面幅にパラメトリックに変化。のはずが・・修正完了。各ディバイスで見やすくなりました。2014.11.5
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