1. 建築主・施工者の目的
ここで建築主・施工者のそれぞれの目的を考えると下のようになります。相反する目的です。しかし、どのような商行為も目的は同じですが、この建設取引の特殊な関係を考えねばなりません。
建築主:最小限又は予定された費用で、最大に有益な建物を得ること。
施工者:建設行為を通して、利益を得ること。
ここで建築主・施工者のそれぞれの目的を考えると下のようになります。相反する目的です。しかし、どのような商行為も目的は同じですが、この建設取引の特殊な関係を考えねばなりません。
建築主:最小限又は予定された費用で、最大に有益な建物を得ること。
施工者:建設行為を通して、利益を得ること。
建設取引の特殊な関係とは?
請負契約
請負契約とは、決められたものを造る約束をして、できた物・完成した物に対して、受領し、お金を支払うこと。ですから、どのようにして造るかは、問題にはなりません。
ところが、できた物が、本当に決められた機能・性能を持つものか判断しなければなりません。造る過程によってできた物は、どんどん仕上によって隠され、加工し組み立てればもとの材量の質は、判断できません。したがって、造る過程で、機能・性能を確認の必用(手間)が生じます。
一方、造る側(施工者)は、造る過程の作業の合理化によって、より利益を求めます。機能・性能を維持し、どう造るか。いわゆるVE(Value Engineering)です。ところが、機能・性能をよく理解しないで見落とした、意図的に見落とした時、欠陥住宅が発生するのです。設計施工一括請負
設計施工は、施工者が設計のサービスまで含めておこなうことです。ビル建設のゼネコンだけでなく、住宅建設を全て大工さんに頼む場合もこれに含まれます。
この場合、施工者は請負契約によって利益を得ることを基本としますから、設計の効率化、ひいては手間を掛けない圧力が、常に掛けられます。
大手を問わず会社形式の施工者は、組織として別に設計部門を設けていますが、常に生産・建設の段階で極力利益を出すことを課せられた発想が、中心を占めることになります。
但し、そうは言っても「見えざる手」によって市場が、企業倫理によって、または絶対的なあなたの信頼によって、企業利益による圧力による品質の低下が守られるということを前提に、マンション・建売住宅が出来上がっているといえます。基本はオーダーメード
敷地・環境・建築主の考え方によって、あなたのためのあなただけの住宅/建築を造ろうと思った場合、限りない可能性があります。
考えなければならないことが山積です。
- あなたは、どのような住宅/建築を造りますか?
- 予算は?
- あなた一人で決めますか?人の意見の調整は?あきらめて決められた枠の中から選んでしまう?
- あなたの解答は本当に最良の案ですか?
- そのあと、あなたのイメージ・意図を、施工者に、十分伝えられますか?
建築主と施工者の関係から、専門的知識を持った上で、建築主と一緒になって考え、かつ施工者との交渉の協力をする役割が必要となる。これが設計者の役割。
以下「始まりを考える」「組み立てる」「伝える」「Check! Check!」が具体的行動であり、「委託契約」という形で具現されます。
始まりを考える→パレートの法則
現代でよくパレートの法則が用いられる事象「仕事の成果の8割は、費やした時間全体のうちの2割の時間で生み出している」。建設の進捗状況の最初から20%は、計画(概念設計)と基本設計。つまり基本設計まで8割方決まってしまう。ここを十分な知識と経験で十分検討することが、成功の第一ポイント。
組み立てる
目的・条件の整理、様々な可能性から最後は1つのものに組み立てる。この能力が設計能力といっても過言ではない。
建築学は雑学の帝王。大学の建築学科の中は、意匠(建築デザイン論から美学哲学まで)、歴史(日本・西洋・近代現代)、設計・建築計画・地域都市計画、構造(力学、木造・鉄筋コンクリート・鉄骨の各論)、設備(給排水-水の流れ、空調-熱・空気の流れ、電気)、音響・騒音、法律(建築基準法)、見積り・積算・建築経済、と巾が広い。さらに実務では、材料に関する知識、事業企画の知識、経営への理解・交渉力。ちょっとした総合大学。
ただ全部わかっているわけではない。全体を見渡して、ここからどう組み立てるか。それが第2のポイントで、建築の設計能力そのもの。Check! Check!
施工中の機能・性能を確認。
見ただけではわからないものの確認。設計図も100完璧はありえないから不整合の調整確認。VE(機能・性能を維持し、造り方を工夫し生産性をあげ、コストを下げる)の場合は設計意図の背景も考えた機能・性能確認。設計図通りかの確認。
これを監理といいます。
一方、どうやって作るか、造り方の指導監督を管理といいます。請負契約では造り方は施工者の責任の範疇。工事管理者といえば、施工者側の現場監督です。委託契約
このように設計者は、建築主の片腕となり、建設の過程・プロセスに参加します。プロセスに参加し、建築主をサポートすることが、設計者の役割となります。
出来た物に対して対価として支払うのが請負契約。設計は、プロセスに参加し建築主の片腕となることを委託した対価報酬の契約ですから、委託契約となります。
もちろん委託契約書には、成果品(図面等の提出)も記述されますが、上のような意味がそもそもの考え方です。
レイアウト、動画・画像が、画面幅にパラメトリックに変化。のはずが・・修正完了。各ディバイスで見やすくなりました。2014.11.5
特集| | ||||
|
03-5694-3866 お問合せはこちら | |
一級建築士設計事務所:東京都知事登録42995号 (本社)東京(北上事務所)岩手北上 |