1. BIM(Building Information Model)
次元設計の第1の特徴としては、視覚的効果を様々な視点から検討し、コミュニケーションに飛躍的効果をもたらすことは明らかだろう。第2の特徴としては、立体であるがゆえに、完全な数量情報が含まれることに注目しなければならない。視覚情報以外の種別・数量情報が含まれる。ゆえに、BIM(Building Information Model)=建設情報モデルなのである。また、共有・公開に適していることも第3の特徴としてあげられよう。
2. 視覚的コミュニケーション
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様々なアングルの透視図
- 2次元の図面から立ち上げる透視図は、せいぜい数面。BIMでは、様々な視線から透視図が得られる。
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アニメーション
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住宅/建築では、シークエンスの効果は絶大である。人が動くことにより変化する光と空間のボリューム。それが再現される。
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光の検討
- 太陽が動き時間と共に、光線が移動、反射光の変化。空間とはプリズム。
照明効果の検討も可能だ。
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テクスチャーの検討
- 最終的に決定されるマテリアル。数十センチのサンプルから実際の効果を想像するには、経験のみがたよりであった。
モデルに様々なテクスチャーを貼り付け検討することは、効果の想像に大いに役に立つ。
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工事種別・工程の視覚化
- 構造透視図、設備透視図、仕上なしのスケルトンは、設計者にとって空間の効果を喚起させる。
これは、建築主の設計コンセプトの理解にも有効である。
構造透視図、設備透視図は、現場施工者への説明・理解にも有効だ。「いかに、造るか(方法)」を理解し、施工者の意気を喚起させる。VEにも工種ごとの専門技術者の設計理解が必要だ。
3.数量
平面には建築の数量情報は含まれない。なぜなら、建築は立体だからである。
立体の「容積」「表面積」もしくは「辺の長さ」のみが数量、平面の数量は立体から得られる2次的数量に過ぎない。
数量は重要だ。Σ{「数量」×単価}=工事費。この方法以外、算出の方法はない。
カテゴリーごとの比較による経験的方法もあるが、恣意的であり、あくまでも企画当初の暫定的利用に限られる。住宅/建築はオーダーメードがほとんどであるのだから。
4.共有・公開
BIMがエレクトリカルリアル(電子的現実)であることは、コミュニケーションツールとして、共有・公開の可能性を大きく広げるものである。
2次元の透視図なら決められた位置から見るだけ、模型でも縮尺が決められるから自ずと見る範囲は制約される。さらに模型は簡単・自由に移動できる代物ではないから、見てもらう対象者が限られる。
その点、エレクトリカルリアル(電子的現実)は、パソコンを使えば、外部・内部を自由に移動し確認することも可能となる。さらにインターネットを使えば同時に多くの人に、エレクトリカルリアル(電子的現実)の世界を公開し、共有することができる。