従来のリスク費が転じる実際の利益とプロジェクトのリスク
この場合は、前の表を前提に、全てを実行価格としている。前と比べれば、純工事費・利益は同じ。当然必要不可欠な諸経費が増えた分、工事リスク費が減っている。
違いは、明らかである。工事リスクが増えると、比較的早く、予定利益の確保不能となり、後に赤字プロジェクトとなる。
ピンク色の利益の領域と、赤い損の領域が拮抗してくる。つまり、プロジェクト全体として、安定性に欠く、リスクの高いプロジェクトになっている。決して、企業経営にはよいことでない。
ハイリスクを避けるための手段は、2つである。
- 工事リスク発生線を全体に下げること
- 工事リスク発生線勾配を穏やかにすること。
「1.工事リスク発生線を全体に下げる」ことは純工事費を削ることになる。つまり、
- 下請けタタキ(下請けの工事費を値切る)
- 手抜き工事
- 仕様・性能の低下
となる。VE(バリューエンジニアリング:性能を下げずに工夫して値段を下げる)もあるが、たやすいことではない。勢い、上の3つに頼ることになる。
「2.工事リスク発生線勾配を穏やかにすること。」は、3D・BIM設計の利用などによるリスク回避の手法である。