3D・BIM設計Bentley社製Micro Station/TriFomaの数量調書・見積のフローチャート・プログラム構造
上の図は、私の3D・BIM設計で使用するBentley社製Micro Station/TriFomaの数量調書・見積のフローチャートの構造である。ここでは、3D・BIM設計で、いかなる原理で、数量調書・見積作成できるのか、基本的考え方を紹介したい。
3Dモデルは、パーツによって構成される。パーツは、立体の原寸モデルであるため、そのパーツの種類により、体積・面積・長さなどの情報を有している。一方に、もうひとつの情報群がある。それは、コンポーネントである。コンポーネントとは、仕様と単価の情報群である。ここまで説明すると、すでにお分かりだろうが、
- Σ(パーツの数量×コンポーネントの仕様に単価)=工事費
が、単純な原理である。
ところで、建築の場合、パーツは膨大な数に上り、種類も雑多である。さらに、取り扱い数量の大小によって、単価も変化する。ここで、ひとつのパーツにひとつのコンポーネントで3Dモデルが構成されたら、3Dモデルは膨大なデータボリュームものになりとても、現実的でない。そこで、いくつかの仕掛けが必要となる。その仕掛けとは、以下の3点である。
- ひとつのパーツに複数のコンポーネントを設定できること
- あるコンポーネントに対するパーツの数量情報は関数で定義できる
- コンポーネントの単価は、そのコンポーネントに関する数量の大小により可変的に定義可能であること
<例として、柱columと基礎baseで用いる生コンクリートと仕上財の見積>
上の図で、柱columと基礎baseの生コンクリート、及び柱columの仕上財の見積もりをする。ここで、
- 柱colum:コンクリートの構造体に仕上財が巻いてある。
- 基礎base:コンクリート床で仕上なし(仕上げがないのは、実際にはありえないが・・)
- 基礎baseモデルは、基本モデルで、フラットな板状のモデルであるが、実は、外周のみに地中梁が必要
と仮定する。まず
- コンポーネント設定:c=柱仕上財、d=生コンクリート
と設定、パーツの、柱columと基礎baseに、上のコンポーネントを関係付ける。
- 柱colum
- 「c=柱仕上財、d=生コンクリート」の二つのコンポーネントを同時に関係づける。
- パーツ数量情報:C=体積、D=側面積
- 基礎base
- 「d=生コンクリート」のコンポーネントのみ関係づける
- パーツ数量情報:E=上面積
となる。
- 柱colum仕上財の算定
- コンポーネント「c=柱仕上財」の関数f5を「D(=側面積)」に設定。
- 『関数f5「D(=側面積)」』のパーツ柱columの数量集計結果がf5D。
- コンポーネント「c(=柱仕上財)」の単価cとする。
- f5D×cが、柱columの仕上財の見積もり
- 生コンクリートの算定
- 柱colum生コンクリートの算定
- コンポーネント「d=生コンクリート」の関数f6を「C(=体積)」に設定。
- 『関数f6「C(=体積)」』のパーツ柱columの数量集計結果がf6C。
- 基礎base 生コンクリートの算定
- コンポーネント「d=生コンクリート」の関数f7を「E(=上面積)+周長×地中梁断面」に設定。
- 『関数f7「「E(=上面積)+周長×地中梁断面」』のパーツ基礎base の数量集計結果がf7E
- 生コンクリートの体積合計
- 生コンクリートの体積合計 によって数量割増係数
決定
- (数量の大小による単価の増減係数)を設定により自動計算:y
- コンポーネント「d(=生コンクリート)」の単価dとする。
- (f6C+f7E)dyが、柱columと基礎baseの生コンクリートの見積
以上が、見積もりの原理である。このような作業を総和して、最終の見積、数量調書を作成する。
複雑なように見えるが、このようにひとつのパーツにいくつかのコンポーネントを設定することで、効率的な設計見積もりを作成することができる。
この手法により基本モデル完了(従来の2次元設計でいう基本設計完了時)に、従来の実施設計完了時見積(契約見積)の精度に近い設計見積もりが可能となる。