さらに複雑化する散りばめられた経費・工事リスク費・利益
前の関係とは逆に、実行価格から各種工事明細に目を広げて契約価格(見積書)を見ると、「リスク費」の全額、「利益・本社経費・設計費・現場管理費」の一部は、契約価格(見積書)の各種工事明細の全てにわたり、散りばべられているのが理解できつと思います。
このように、契約価格(見積書)は、各種工事明細までも、工事の実体・製品の価値を正当にあらわしていません。
したがって、見積書作成者で、実行予算を別途資料で握る、工事施工者以外、工事の実体を把握することはできません。いわんや、設計者・設計事務所が査定を試みようと、発注者・オーナー・建築主が、契約金交渉をしようと、その行為に論拠はなく、確固な基礎の上に建築を築こうとするものが、砂上の楼閣で議論しているのです。
施工者から見れば、建設行為の全てのリスクを負うのが社会通念である。その代償として、施工者は、そのリスクを負う代償として、このような見積形式・商慣習で、保護されているとも考えられるでしょう。
しかし、現在の非常に不透明な見積形式・商慣習は、査定・契約金交渉は、論拠の不安定な、危うい行為であると考えています。かつ、品質・製品価値の見えないこの見積形式・商慣習は、品質・製品価値そのものも、不安定で、危ういものとしています。