3D・BIMプロセスの前倒し効果
基本設計から、3Dモデルで設計を進めることにより、前倒し効果が発生する。
経験的にではあるが、図面作成の前に3Dモデルを作成しなければならず、かつ、3DモデルにはInformation Building model(BIM)として、各種情報もインプットしなければならない。現状においては、作業が手早くできるというよりも、作業のピークが最終図面作成(従来の実施設計後半)よりも、その前に来るというイメージである。その代わり、一度作成すると、手直しは少なく、早い。
もうひとつの大きな前倒し効果は、見積もりの前倒しである。基本3Dモデルが完成すると、立体なので、数量情報が保持され、単価さえ入力すれば、従来の実施設計並みの見積もりも可能である。ただし、大まかでもモデル化は必要であって、RC・鉄骨系の建築であれば、仮定断面モデルで計算できるが、木造の場合は、軸組みを入力すると、すでに詳細3Dモデルになる。したがって、私の経験では、木造の場合、見積作成は、詳細モデルに入ってからとなる。
このように、3D詳細モデル前の、早期に見積書・数量調書を作ると、3Dモデル作成・図面作成中に数量データをもとに一度見積もりを行い、3Dモデル作成・図面作成後には、簡単な修正で、済ませることもある。
従来とおり、最終図面終了後の、施工者見積もりであっても、数量調書を渡せば、施工者の見積帰還も早くなる。
設計完了後も、図面の完成度は高いので、現場監理時の手直し、設計変更は大幅に少なくなる。これも、前倒し効果である。