理想の設計作業曲線
「パレートの法則」という経験則は、建設・設計にも当てはまる。これをプロジェクトに適応すれば、プロジェクトの3割進行の時点で7割の予算が決定する。つまり、基本設計の前段で、7割方の予算は決定している。基本設計以降、従来の2次元設計であれが膨大な設計作業が存在し、実施設計後半でピークを迎える。この膨大な設計行為は、「パレートの法則」に振り返ると、残り3割を決定する行為なのである。
さらに、もし監理段階で設計変更が必要とすると、残り数%の予算のために、膨大な設計作業となる。設計効率から見れば、ばかげて話である。
上の図は、上述の関係を表している。「パレートの法則」曲線のしたに「赤い点線」が理想の設計曲線となる。しかしこれはありえない。設計開始で、すでに設計作業の大半が終了していることはないのであるから。一方、従来の2次元設計の設計作業曲線は「青い実線」で示されている。ピークは実施設計後半である。従って、従来の2次元設計の設計作業曲線(青い実線)が、理想の設計曲線(赤い点線)からはみ出た部分が、設計の改善によるコストダウンが可能な理論上の作業量となる。