プロジェクトマネジメントPM講座
BSI講義要約 

公官庁施設のコストプランニング

講義日:2004/7/28 講師名:佐藤 隆良

1.1. コストプランニングの背景

コストプランニング手法としてのVEを論ずる前にその背景と課題を分析する.

  1. 背景:コストプランニングが重視される背景として次の5つがある.
    1. 財政のスリム化
    2. 設計段階でのコスト管理の不足(基本設計の7割が坪単価評価、概算手法が整っていなく欧米との格差が大きい)
    3. 増えたストックの更新の負担増
    4. ITの積極的利用(WBS=Work Breakdown Structure、MIS=Management Information System経営情報システム等の利用)
    5. 他国の手法のメリットを生かす」
  2. 現状の問題点
    • 現状の問題点の8つの問題点が挙げられる.
    1. 予算と実勢価格との乖離(ユニットプライス方式導入の必要性)
    2. コストデータ-ベースの蓄積が希薄
    3. 意思決定とコストスタディーの連携が希薄
    4. 概算手法の確立
    5. 既存ストックに対する修繕・改修の基準が不明確
    6. LCCの実務への応用
    7. 設計のコストマネージメントシステムが不明確(欧米はフェーズごとのガイドライン有)
    8. 契約システムの不明瞭
  3. フェーズごとの課題
    • 3つのフェーズで各々次の課題が有る
    1. 設計段階
      1. 発注者のクレームが最も多い
      2. 設計密度に応じた概算手法の確立
      3. VEの利用
    2. 入札段階
      1. Lump Sum(一式総価契約)・GMP・単価契約・概算契約など欧米の契約方式の導入
      2. PM/CMの導入
      3. アカウンタビリティ-の必要性(現在公官庁自体の設計はアウトソーシング)
    3. 維持管理段階
      1. LCCの導入・PFIの導入
      1. 節税対策・投資効果も含めた維持管理のデータ整備
      2. コスト管理マニュアルの整備
        • 英国ではコストコンサルタントのQSが存在する。米国では予算オーバーは全て設計者自らの責任で変更設計を行う。

 

2. 設計段階におけるVE手法
  1. 定義
    • VEを定義すると以下のように定義される。
      • 定義
        1. 多くの専門的立場から
        2. 機能を分析し
        3. 最も低いコストで
        4. 確実に実現するための
        5. 組織努力
      • 定義式
        1. V=F/C
          • V; value
          • F: function
          • C: cost
  2. VEの分類
    • 以下の4つに分類される。
      1. コスト低減型(F↑=F→/C↓)
      2. 機能向上型(F↑=F↑/C→)
      3. 複合性(F↑=F↑/C↓)
      4. 拡大成長型(F↑=F↑/C↑)
        • 設計者が過剰設計の場合F↑=F↓/C↓もあり.Costdownではない
  3. VEのプロセス:
    • VEのプロセスは以下の8段階である。 VEは機能追求でもあり「2.機能分析」が最も重要である.
      1. 情報収集
      2. 機能分析
      3. アイデア発想
      4. アイデア評価
      5. 提案書の具体化
      6. プレゼンテーション
      7. 実施
      8. 検証
  4. 機能分析
    • 通常このプロセスを3~5日で行う.機能説明は「騒音を減少する」のように「名詞+動詞」の2つの単語に要約し、なるべき数量化する.機能は以下の2つに分類される.
      1. 基本機能Primary
      2. 2次機能Secondary
  5. 着目点
    • 意匠に関係ない隠れるところ(土中・床下基礎)は機能本位の積極的VEが可能である.

 

3. 設計VEの活用目的と方法
  1. 中部国際空港の例
    • 日本の着陸料は95万円/回、海外では30万円/回である.経営的に成立させるため、つまり「発注者のヴァリューとは」を、成田・関空等の前例主義・経験主義でなく機能でとらえなおすとデザイン変更による減額が求められた.局面屋根・折鶴形状を平屋根・直線に変更し41億円の減額をした.
  2. プロジェクト導入段階でのVE提案
    • 導入段階とVE運用形態は次の4つに分類
      1. ①設計=設計改善案
      2. ②入札=技術競争型
      3. ③入札=契約金調整型
      4. ④契約後=施工コスト節減型」
  3. パレートの法則
    • 設計の20%決定の段階でコストの80%が決定.設計段階のVE導入が最も有効.
  4. 米国での設計VE
    • VEは設計進行中の予算チェック、予算オーバーの場合のコスト低減方法として一般的となっている.この理由は以下の2つである。
      1. 「①設計初期の段階で比較的高い精度の予算額算出を2要求
      2. ②目標予算内に収める設計技術・予算に見合う建物を作る経済設計が求められた事
      • また、米国ではUNIONが充実しており米国の労務費は日本の1.4倍で、設計段階で工事生産性が求められたことにもよる.
  5. 米国での設計各段階と積算方法
    • 各々の関係は下の表による。現実的には実施設計でのVEは少ない.
フェーズ 設計図書完成度(%) 積算方法
企画構想 0 平方あたりの単価算出
基本計画 15 部位別単価による積算[躯体・仕上・設備
基本設計 35 詳細な部分単価による積算[躯体・外壁等
実施設計 90-100 工種別単価による積算
工事契約   札者の見積書のデータ分析

 

4. 適切なVEの管理運用の方策
  1. VEチーム編成
    • VEチーム編成は以下の4つに分類できる.
      1. 発注者
      2. ホットチーム(プロジェクトの設計者)
      3. コールドチーム(第三者の独立VEコンサルタントチーム)
      4. 混合型(発注者+設計者+第三者)」
  2. 3.2. メリット・デメリット
    1. デメリットは以下の2点。
      1. 設計期間延長
      2. VE実施フィーの派生
    2. メリットは以下の4点。
      1. 設計VEでコストの10‐20%の提案可能(実施VEは5%が限度)
      2. VE投資効果は1:20である
      • (以下は2次的メリット)
      1. 代替案を探求し検討議論の機会を提供
      2. 発注者に価値の定義を求めることを促す

 

5. 設計VEをサポートする手段・設計川上段階でのVE実施事例

講義では、設計VEをサポートする手段、設計川上段階でのVE実施事例の詳細が紹介されている。


スマホ、iPadに対応、Naviを修正。

レイアウト、動画・画像が、画面幅にパラメトリックに変化。のはずが・・修正完了。各ディバイスで見やすくなりました。2014.11.5

特集|
投資関連サイト集
REITファンドやセミナー、資料集めに。
PCソフト&セキュリティー
効率的仕事のための情報。セキュリティー比較
レンタルサーバー・ITサービス
進化するITを積極利用のためのサイト比較
SEO・アフリエイト
実践しているSEOとアフリエイト集
アクセスありがとうございます。
あなたは 番目のお客様です。
03-5694-3866  お問合せはこちら
一級建築士設計事務所:東京都知事登録42995号 (本社)東京(北上事務所)岩手北上
高橋建築研究所ロゴ2 会社案内設計料お問い合せ原価公開オープンブック協力会社登録NEWS履歴| プライバシーポリシーサイトマップ| リンク| ©2007 有限会社高橋建築研究所・一級建築士事務所