1.1. コストプランニングの背景
コストプランニング手法としてのVEを論ずる前にその背景と課題を分析する.
- 背景:コストプランニングが重視される背景として次の5つがある.
- 財政のスリム化
- 設計段階でのコスト管理の不足(基本設計の7割が坪単価評価、概算手法が整っていなく欧米との格差が大きい)
- 増えたストックの更新の負担増
- ITの積極的利用(WBS=Work Breakdown Structure、MIS=Management Information System経営情報システム等の利用)
- 他国の手法のメリットを生かす」
- 現状の問題点
- 現状の問題点の8つの問題点が挙げられる.
- 予算と実勢価格との乖離(ユニットプライス方式導入の必要性)
- コストデータ-ベースの蓄積が希薄
- 意思決定とコストスタディーの連携が希薄
- 概算手法の確立
- 既存ストックに対する修繕・改修の基準が不明確
- LCCの実務への応用
- 設計のコストマネージメントシステムが不明確(欧米はフェーズごとのガイドライン有)
- 契約システムの不明瞭
- フェーズごとの課題
- 3つのフェーズで各々次の課題が有る
- 設計段階
- 発注者のクレームが最も多い
- 設計密度に応じた概算手法の確立
- VEの利用
- 入札段階
- Lump Sum(一式総価契約)・GMP・単価契約・概算契約など欧米の契約方式の導入
- PM/CMの導入
- アカウンタビリティ-の必要性(現在公官庁自体の設計はアウトソーシング)
- 維持管理段階
- LCCの導入・PFIの導入
- 節税対策・投資効果も含めた維持管理のデータ整備
- コスト管理マニュアルの整備
- 英国ではコストコンサルタントのQSが存在する。米国では予算オーバーは全て設計者自らの責任で変更設計を行う。