1. 区分所有法の変遷・概論
- 民法典
- 明治29年制定同31年施行民法208条「数人で一棟の建物を区分しその一部を所有するときは、建物及びその付属物の共用部分はその共有に属するものと推定し(同条1項)、共有部分の修繕その他負担は各自の所有部分の価格に応じて分かつ(同条2項)」は死せる制度であった.
- 1.2.昭和37年区分所有法
- 民法208条を廃止、昭和37年に「建物の区分所有等に関する法律」が制定される.同法では、主に以下の7点をを規定している。付け加えるならば「7.管理者規約及び集会の区分所有特有の管理制度(同法17-34条)」を生み出したことは、特筆される。
- 所有権の対象となる部分(専有部分)を定義(同法1条)
- 共有部分のあり方に言及(同法3.4条)
- 民法での共有部分との違いを明示(同法9-15条)
- 区分所有者の権利義務(同法5条)
- 敷地への権利のないときの区分所有権売渡請求権(同法7条)
- 管理者規約及び集会の区分所有特有の管理制度(同法17-34条)
- 民法208条を廃止、昭和37年に「建物の区分所有等に関する法律」が制定される.同法では、主に以下の7点をを規定している。付け加えるならば「7.管理者規約及び集会の区分所有特有の管理制度(同法17-34条)」を生み出したことは、特筆される。
- 1.3.昭和58年区分所有法
- 同法の特徴は個別主義的な専有部分重視から共有部分への視点を移したことである.また、初めて建替え制度が規定されている.同法の大きな改革は以下の2点とされる.
- 専有部分への権利と敷地利用権の一体化(土地建物が附合、建物を離れて土地取引ができない.登記法も同時改正)
- 管理制度の充実
- 「2.管理制度の充実」とは以下の4つの条項である.
- 区分所有者の団体制の認知(同法3条)
- 決議における全員一致から多数決主義への移行(同法17・31条)
- 義務違反者の排除(同法59・60条)
- 建替え制度の法定(同法62条)
- さらに「4.建替え制度の法定(同法62条」では以下の二つを同時に満たすと建替え可能となった。
- 費用の過分性(建物価格と効用維持回復費用を比較し前者が後者より過分の場合)
- 区分所有者及び議決権の4/5の特別多数決
- 同法の特徴は個別主義的な専有部分重視から共有部分への視点を移したことである.また、初めて建替え制度が規定されている.同法の大きな改革は以下の2点とされる.
- 1.4.平成14年区分所有法
- 建替え法を中心の目的として改正される.主な内容は次の内容である。
- 「老朽化・費用の過分性・敷地の同一性・建築目的の同一性など建替え決議のための全ての客観性を削除し、ただ区分所有者及び議決権の4/5以上の特別多数決のみで1棟単位の建替え可能(同法62条)」
- 「団地での特定建物の建替え決議には上の1.の決議のほか団地団体での決議権の3/4以上の承認決議が必要(同法69条1項)この場合特定建物以外の建物に特別影響のあるときはその建物の議決権の3/4以上の賛成が必要(同条5項)」
- 「団地において一括建替えするときは団地団体の区分所有者及び議決権の4/5以上の特別決議と、それぞれ棟の区分所有者及び議決権の2/3以上の特別多数決議でできる(同法70条)」
- 建替え法を中心の目的として改正される.主な内容は次の内容である。
- 1.5.マンション建替え円滑化法
- 上の平成14年区分所有法に伴い成立した。区分所有法の建替え決議後、建替えをどのような手続で行うかを具体的に規定した建替え事業法である.主に指摘すべき点は以下の2つである.
- 抵当権が新しい建物に自動的に移行する(同法73条)
- 借家人も新しい建物に移行できる(同法71条)
- これは平成13年民法改正で滌除(10%増しで民法抵当権抹消できる)が廃止となり、阪神・淡路地震のマンション建替えの際、抵当権の抹消の方法がなく「建物収去土地明渡し」の可能性がなくなり、マンションの再建に手間取ったことを契機に導入された.
- 上の平成14年区分所有法に伴い成立した。区分所有法の建替え決議後、建替えをどのような手続で行うかを具体的に規定した建替え事業法である.主に指摘すべき点は以下の2つである.